| 古典美の極致ー頤和園 | ||||
![]() 北京の西北郊外にある頤和園は中国歴代の皇宮庭園を集大成し、南北の民間私家庭園の粋を集めた、中国に現存する最高、最大規模の皇宮庭園である。 中国の庭園は、ヨーロッパの古代庭園とは異なり、いずれも自然美と芸術美の究極の調和を追求する独特の体系を持っている。皇帝が造園した頤和園は中国で最も有名な古典庭園として、北方山川の雄大さから江南水郷の秀麗さ、豪華な皇宮から精巧な民居の情緒まで兼ね備えている。 頤和園内は宮廷区、万寿山、昆明湖の三つの部分からなり、総敷地面積は290ヘクタールに上がる。仁寿殿を中心とする宮廷区はかつて勤政殿と呼ばれ、皇帝が政務を司る所だった。仁寿殿内の平床の上には宝座、屏風、掌扇、鼎炉、鶴灯が安置され、屏風には9頭の竜と226の書体で「寿」の字が描かれている。仁寿殿から北へ少し行った所に、清の時代に建造された3大劇場(ほかは故宮の暢音閣と承徳避暑山荘の清音閣)の一つとして名高い徳和園がある。清の西太后の誕生日にはここで慶賀の芝居が上演された。 楽寿堂から西へ邀月門を過ぎると、728mに及ぶ長廊に出会う。長廊は中国庭園中最長の廊下で、昆明湖北岸に沿って西へ延々と伸び、彩色の帯のように遠山近水と園内の各建築物を有機的に結んでいる。長廊には8000余幅の絵が描かれ、絢爛たる一条の画廊をなしており、濃厚な民族色を湛えている。 長廊を抜けて排雲門をくぐると、万寿山を背にした排雲殿が現れる。殿の両側の坂道を登って徳輝殿を抜け、114段の階段を登ると、そこは仏香閣。58mの坂の上に建てられた8角4重の仏香閣には接引仏が祭られ、毎月1日と15日に、西太后が線香を上げて参拝した。仏香閣は頤和園のシンボル的存在で、中国古代建築を代表する傑作でる。仏香閣から見下ろすと、東側に転輪蔵、西に宝雲閣が見える。宝雲閣はまたの名を銅亭といい、207トンの銅で鋳造され、全体に暗黄緑色を呈している。極めて美しい造型で、世界にも稀な逸品だ。仏香閣のさらに上には、頤和園で最も高所にある建築物、智慧海が聳え立つ。内部の構造は縦横に交錯するアーチ形の「せりもち」で天井が支えられ、梁も柱も使われていないことから、俗に「無梁殿」と呼ばれている。 万寿山の南はさざ波を立てる人工湖の昆明湖。西側には杭州の蘇堤を模した西堤があり、湖を東西両部に分けている。西堤には6つの橋があり、玉帯橋が最も有名で、遠くから眺めると空を漂う白い帯のように見える。西堤とつながっている東堤は石造りの長堤で、中程には廬溝橋を模倣した十七孔橋が懸かり、橋の石柱に564匹の獅子が彫られている。広大な昆明湖には3つの大きな島があり、十七孔橋とともに万寿山に映えている。 頤和園の3大景勝区は、湖あり山あり庭園ありの美しい景観をなしている。様々な様式の宮殿、寺院、庭園建築は3000余に上り、異なる建築群が独立しながら互いに呼応しあっている。遠く西に望む玉泉山を背に、人工の建物と自然風景が巧みに融和し、中国庭園芸術の模範となっている。昔の古典宮廷庭園は、一般公開後、毎年内外数百万人に上る観光客を迎えている。
|






