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五岳の冠—泰山

山東省の中部に位置する泰山。その主峰の標高は1545メートル。聳えたつ雄大無比の奇峰は、まさに「地を抜き天に通ず」の感がある。南岳の衡山、西岳の華山、北岳の恒山、中岳の嵩山を合わせた「五岳」の筆頭に挙げられ、「天下第一の山」の誉れが高い。

中国人は古代から泰山を崇拝してきた。「泰山安らかならば、四海皆安泰」といわれ、秦の始皇帝や漢の武帝から清の帝王に至るまで、皇帝自ら泰山に赴いて封禅し、祭祀を行う風習が、代々続いてきた。孔子は「登泰山而小天下(高い泰山に登れば世界が小さく見えるの意)」という名句を残している。

泰山登山は、まず岱廟の参観から始めたい。岱廟は秦の時代に創建され、歴代帝王が泰山の山神を祭った所である。漢の時代に入ってから岱廟に宮殿が建てられ、唐と宋の時代に大規模な増築が行われた。主体建築物の天貝兄殿は宋の時代に建造されたもので、二重八角殿は黄金に輝き、斗拱(ときょう)には彩絵が施され、黄色の瑠璃瓦が鮮やかで、北京故宮の太和殿、曲阜孔子廟の大成殿と並んで、中国の3大宮殿式建築と称されている。天貝兄殿にある巨大壁画「泰山神啓蹕回鑾図」は山神が狩りで大収穫を得る様子が壮大な気勢と生き生きとした描写で描かれ、古代絵画史上の逸品である。

自然景観と人文景観を集大成した泰山は、「幽、広、秀、奥、妙」の5つの観光区に分かれている。「幽」区には、歴代の帝王が泰山に登る御道だった東路があり、泰山の文物古跡が左右に並ぶ。紅門から南天門まで続く6293の石段からは、紅門宮、経石峪、中天門、十八盤など素晴らしい景観が望める。「広」区には東路に対して西路があり、天外村から中天門まではバスで行ける。黒竜潭、長寿橋、扇子崖などの奇景が楽しめ、峰を囲むように渓流が流れている。「秀」区にある桃山源は、翠屏山、筆架山、彩帯渓、一線天など、群峰が秀麗を競い、滝や渓流が照り映えて、泰山風光の雄というだけでなく、江南の山水の趣きも備えている。泰山の北面は岱陰、または「後石塢」と呼ばれる泰山の「奥」区で、幽邃な風景区。千姿万態の古松、屹立する奇峰が独特の景観を作り出している。山の峰が剣のように青空を突き、ほとばしる百丈滝や天燭滝の音は5キロメートル離れたところでも聞こえる。

泰山の「妙」区はいうまでもなく頂上。南天門に登り、天街や石段を行けば、あたかも仙界を漫歩するがごとく、大自然の妙を満喫できる。泰山の頂上、玉皇頂に登りつくと、ここから見る日の出は実に素晴らしい。暁には雲海から昇る朝日を拝む観光客の姿がよく見受けられる。東の空が黄金色に染まる頃、真っ赤な太陽が顔をのぞかせ、泰山の頂上に雲海が押し寄せ、大地が蘇る



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