| 石刻の宝庫―大足石窟 |
| 2004-02-13 |
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中国四川省の大足県内に、9世紀から13世紀に造った約5万体の塑像が分布してある。大足石窟といわれ、なかでも北山、宝頂山の石窟はすばらしく、代表的な石刻彫塑として知られる。
北山の石窟には1万体近い塑像が彫られ、すでに1000年以上の歴史をもつ。窟内の観音や菩薩は人間味あふれる親しみやすく、普通ありがちな神秘的雰囲気はない。数ある塑像の中でも、吼える獅子の上に乗った文殊菩薩と、白い象の背に乗った普賢菩薩が最も目を引く。善良な美女とよく飼い慣らされた猛獣が柔と剛のコントラストをなし、善が悪を打ち負かすという哲理を表現し、動と静の調和と統一を達成している。
北山石刻の中で、宋の時代の観音像は珍しい。中国の早期観音像は、一般的に男性の形象で、襟を正して端座し、荘厳で静粛な雰囲気を湛えているのに対し、唐の時代以後の塑像に属する北山の観音像は、女性の形象をとり、世俗的な人間美を湛えている。全身豪華な装飾で彩られ、頭には花の冠を戴き、上半身はやや露わに、胸には飾り房を下げ、腰は巻き衣、肘には衣帯をまとい、裸足で蓮の花の上に立っている。衣帯が軽やかに風になびき、しなやかな姿態は妙齢の少女を思わせる。外国の観光客はこの観音像を「東方のビーナス」と呼んで称賛する。
秀麗かつ精巧で生き生きとした北山の塑像に対し、宝頂山の塑像は雄大な気勢と壮観さで知られる。大仏湾を中心に、長さ約500メートルの馬蹄形をした奥深い山洞に散在する800年以上の歴史をもつ1万体を超える塑像群はじつに壮大で美しい。最も注目される「釈迦涅槃聖跡図」は31メートルも長い涅槃仏が体を斜めにして横たわり、上半身は裸身で下半身は岩石の中に隠れ、ほとんど北崖全体を占めている。釈迦の表情は穏やかで慈愛に満ち、両眼をうっすら開き、円寂前の心境が余すところなく表現されている。
このように、大足石刻は素朴で野性的な味わいの中に奥深い趣を湛えている。塑像の1つ1つが力強い魅力にあふれ、彫塑家の優れたデザイン、工匠たちの熟練した技を体現している。長い歴史をもつ中国石刻宝庫に輝く真珠である大足石刻は、訪れる観客たちに感激の息をのませる。
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