日本の野田佳彦首相は26日,2日間の中国公式訪問を終えた.24時間もない行程で,中国の複数の指導者が首相と会って話しあい,内容は政治,経済・貿易,民間交流など多くの分野に及び,幅広い共通認識(コンセンサス)が得られた.
専門家は,今回の訪問は民主党の政権担当後,日本の首相による初の訪中であり,双方は中日関係を発展させる大きな方向について多くの共通認識に達した.双方は共に発展するパートナーになることを表明し,政治的相互信頼の増進,交流・協力の拡大のため,そして共同で中日の戦略的互恵関係の新局面を開くためのよい基礎を築いた.
◇総じて前向き基調を示す中日関係
野田首相の訪中はちょうど国交正常化40周年の前夜にあたり,野田氏はこのような時に「訪中の願いがかなって大変嬉しい」と語っており,中国側も今回の訪問を非常に重視した.
目下,中日関係の全体的雰囲気も比較的よい.胡錦涛主席は野田首相と会見した際,次のように指摘した.この1年,中日関係は総じて前向きの基調を示した.今年9月,日本の新内閣発足後,両国関係は好スタートを切った.
「野田政権は登場後,対中政策で総じて大局を重んじており,中国指導者の中日関係に対するこの評価は,全体として,野田政権を肯定したものといえる」,中国人民大学東亜<東アジア>研究センターの黄大慧主任はこう述べた.
黄主任はさらに,次のように述べた.両国の努力を経て,とりわけ日本の大地震後,両国関係は昨年の船舶衝突事件による影響から徐々に回復している.野田首相は中国に用心する「小細工」もしたが,経済,教育などの分野では,協力の姿勢を保っている.全体的には,両国関係は比較的前向きだといえる.
専門家は,このような背景の下で,中国と日本が年末前に行ったハイレベルのインタラクションは二国間関係発展の新たなチャンスをもたらしたとみている.
◇相互信頼増進―関係発展の重要な基礎
訪問期間中,「相互信頼の増進」は両国の指導者が何度も言及したキーワードだった.呉邦国全人代常務委委員長は,中日関係は二国間関係の範ちゅうを大きく超えており,中国側は日本との関係を非常に重視していると指摘した.温家宝首相は,確実有効な措置をとって相互信頼を積み上げ,協力拡大のためのしっかりした基礎を固めると表明した.野田首相も,「日中の政治的相互信頼の増進は両国関係を発展させる重要な基礎だ」と明確に表明した.
「双方が政治的相互信頼の強化について突っ込んで意見交換するのは大変必要なことだ.政治的相互信頼は中日関係の中で強い点ではない.相互信頼の基礎が弱ければ,比較的熱い両国の経済関係に影響することさえある」,中国現代国際関係研究院日本研究所の馬俊威副所長はこう述べた.
さらに,次のように続けた.昨年の船舶衝突事件は中日関係に暗い影を落とした.双方は多くの問題について解決方法を模索し,両国関係に影響する偶発事件をできるかぎり回避することをめざす必要がある.
「相互信頼それとも相互不信の情報を伝えるか,指導者の態度表明は非常に重要だ.野田首相訪中の際,双方の指導者は協力という中日関係の主流と協力の方向を十分に肯定した」,中国国際問題研究所の曲星・教授はこう述べた.
さらに次のように続けた.中日関係は比較的複雑だ.過去の原因もあれば,外部勢力の介入という原因もあり,相互信頼を完全に確立するには長い時間がかかるだろう.したがって,少しでも多く具体的作業をする必要がある.双方がすでに進めている海上減災防災協力および日本の地震に対する中国の支援,慰問などの措置だ.
「中日関係の発展では過去の歴史を忘れてはならない.未来志向とは,政治的相互信頼を増進することにほかならない.政治的相互信頼の増進,交流・協力の拡大は中日の戦略的互恵関係を築くことの二つの重要な側面である」,黄主任はこう述べた.
そして次のような見方を示した.中国は歴史を鑑とし,未来に目をむける精神にのっとって協力を拡大するように言ったが,これは両国の四つの政治文書の文言と一致している.野田首相も,引き続き政治文書の精神に従って,中国との交流を強化したいと表明した.
「政治的相互信頼の増進は主として政治・安全保障面の相互信頼であり,中日両国は信頼を増し疑念を除き,政策の透明性を高めるようにすべきだ.今回の野田訪中はハイレベルの戦略的相互信頼促進の一つの重要な側面だった」,黄主任はこう続けた.
◇経済・貿易協力の新たな余地もたらす新情勢
専門家は次のようにみている.目下日本経済は比較的困難で,世界の景気もなおよくない.アジア太平洋地域は世界経済の新しい成長点で,中国と日本は重要な役割を果たしており,両国が今回の訪問を通じて経済協力を強めたことは,両国関係を緊密にする一つの大きな契機だった.
経済・貿易分野の協力に触れて,温首相は野田首相との会談で,次のように表明した.双方は省エネ・環境保護,グリーン経済,低炭素経済,ハイテク分野の協力のレベルと規模の引き上げに力を入れるべきだ.中国は日本と緊密に協力し,両国の自国通貨金融市場の発展を促し,中日韓3国自由貿易圏(FTA)構築プロセスと東アジア財政・金融協力を加速することを願っている.
日本・龍谷大学名誉教授で,北京大学客員教授の卓南生氏は次のように話している.中日両国は多くの経済・貿易分野で互いに協力できる.日本は多くの道を歩んでおり,成功の経験と失敗の教訓は中国の学習と参考に値するものだ.
野田首相の滞在中,中国人民銀行は両国のクロスボーダー取引における人民元と日本円の使用促進,元・円直接取引市場の発展支援など金融協力で進展があったことを明らかにした.同時に,日本当局による中国国債への投資に関する申請手続きも進められているところだ.
これについて専門家は,両国が金融分野の協力を深めることは人民元の国際化を進め,日本のドルへの「一辺倒」,完全依存構造を打破し,中日の金融分野における相互のつながりと,依存度を強めるのに役立ち,また地域の財政・金融協力にも有益だとみている.
◇平和,友好,協力の道を堅持
今回は首相就任後初の訪中だったが,野田氏と中国の付き合いは古い.かつて中日青年友好交流3000人訪中団の一員で,1984年に中国を訪問しており,そのため,自分を「日中交流の子」と呼んでいる.
訪問期間中,両国の指導者は共に人民の相互理解と友好を増進する重要性を強調した.双方は,来年を中日「国民交流友好年」とすることで一致し,両国の外交部門は来年5000人規模の青少年交流活動を実現するための覚書に調印した.
呉邦国委員長は野田首相と会見した際,次のように述べた.双方は引き続き中国全人代と日本衆参両院の定期交流の仕組みという有効なプラットホームを十分に活用して,それぞれの内外政策,進む道,共に関心を寄せるその他の問題についての交流と対話を強化し,相互理解と信頼を深め,より多くの政治家,特に若手政治家が中日関係の発展に関心と支持を寄せ,中日友好事業に身を投じるよう促していくべきだ.
清華大学現代国際関係研究院の劉江永副院長は次のようにみている.中日関係はすでに新たな段階に入った.中国は日本を抜いて世界第二のエコノミーとなり,日本は今年巨大地震の災害に見舞われ,両国とも新たな発展・変化をとげており,世界の情勢にも大きな変化が生じた.21世紀にいかにして両国の友好協力関係を一段と発展させるか,いまは極めて重要な転換期である.
劉副院長はさらに,次のように述べた.いかにして新しい時期に政治的相互信頼を増進し,民間の感情を改善するかは両国の前におかれた重要な課題だ.日本の一部の人が「中国脅威論」をあおったり,外部勢力に唆されて中日間でたえず矛盾をつくりだしたりするならば,それは両国の根本的利益に合致せず,地域情勢にもマイナスだ.
馬副所長氏は次のように述べた.長年来,中日関係は曲折を経ながらたえず前進し,徐々に成熟へ向かいつつある.両国とも今後いくつかの問題をどう処理するか,危機管理をどう行って,中日関係自体に免疫力をもたせるか知っており,両国関係発展の方向も,協力と友好―と明確である.
「中日両国が平和,友好,協力の道を堅持し,戦略的互恵関係をたえず打ち固め,発展させることは,互恵・ウィンウィン(共に勝者になる)と共同の発展の実現に役立ち,またアジアと世界の平和,安定と発展,繁栄にも役立つ」,胡錦涛主席の野田首相との会見におけるこの言葉は,両国関係発展の明るい見通しを語っている.
(北京12月26日発新華社)